日本摂食嚥下リハビリテーション学会

9月6・7日に新潟 朱鷺メッセで開催された「第25回日本摂食嚥下リハビリテーション学会」において、2題の演題発表を行いました。

以下抄録を掲載致しますのでご覧ください。

もぐもぐクリニックは地域医療の一端を担う医療機関として、これからも全国レベルでの情報発信を進めてまいります。

 

1.「在宅医療における神経筋電気刺激装置を併用した機能的口腔ケアの検討」

The consideration of combine functional oral care and NMES in home-visit treatment

もぐもぐクリニック 嚥下リハビリテーション歯科・内科

大島直子, 松宮春彦

【はじめに】口腔ケアの介入が必要な在宅高齢者の多くは口腔機能の低下も伴って摂食・嚥下障害がみられるようになるため、器質的口腔ケアに加えて機能的口腔ケアの重要性が増してくる。また全身的に筋力が低下していることが多く、嚥下関連筋群についてもアプローチする必要がある。当院は摂食嚥下障害の回復支援を行う認定栄養ケアステーション併設の歯科・内科クリニックであり、在籍する多職種がリアルタイムでの連携を実現している。今回在宅診療で行う口腔ケア時に神経筋電気刺激療法(NMES)を併用する方法を検討した。

【方法】当院にて在宅訪問診療を行っている患者のうち、VEまたはVFにおいて摂食・嚥下能力のグレードが8以下であり、摂食機能療法の有効性が認められると判断された症例に対し、歯科衛生士がNMESを併用した口腔ケアを行った。刺激の標的は顎舌骨筋と顎二腹筋前腹部とし、刺激パラメーターは対称性二相性矩形波、パルス幅300μsec、周波数80Hzで、装置により筋収縮をさせた状態で20分間以上の口腔ケアを週1回の間隔で行った。なお装置の電流強度は痛みを伴わない筋収縮レベルとし、患者が耐えうる最大の電流強度(12mA以下)とした。

【結果および考察】今まで通常行われていた歯科衛生士による定期的な専門的口腔ケアにNMESを併用して摂食機能療法の要素を取り入れた場合の有効性について、嚥下能力レベルの変化・装置併用中の肺炎発症の有無などを中心に検討する。

 

2.「当院における嚥下障害を有する地域在宅高齢者への対応(第2報)」

An approach to elderly with dysphagia living in local community

もぐもぐクリニック 嚥下リハビリテーション歯科・内科

小林香往里, 吉田恵菜, 松宮春彦

【はじめに】摂食嚥下障害を有する在宅要介護高齢者は現在全国で約40万人に達すると考えられており、今後も増加傾向にあるため在宅医療での対応が重要となってきている。一方で在宅における嚥下障害に対する医療体制は人的資源や利用可能な器材等の問題から、妥協すべき点が多いのが現状である。当院は在宅における摂食嚥下機能回復を主な目的として昨年4月に開院した認定栄養ケア・ステーション併設の歯科・内科クリニックであり、嚥下障害を有する地域在宅高齢者への対応システムを構築している。今回1年半の診療実績を基に、当院が作成した診療アルゴリズムの妥当性と改善点について検討した。

【方法】当院で在宅訪問診療を行っている高齢者のうち、主訴が嚥下障害または嚥下障害の疑いがある症例について、作成した診療アルゴリズムを用いて診療を行った。アルゴリズムの大きな特徴としては栄養ケアプロセスを組み込んでいること、9inchのイメージインテンシファイアを装備した外科用移動式X線テレビ装置(C-ARM)の導入によりVEとVFがほぼ同列に検討可能となっていること、嚥下機能回復の手段としてTESSとNMESを採用している点である。アルゴリズムの運用は医師・歯科医師・歯科衛生士・管理栄養士が協働で行った。

【結果および考察】特に在宅要介護高齢者にターゲットを絞り、当院にて運用している摂食嚥下障害への対応システムについて、その有用性と将来に向けた改善点を検討する。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright mog2 clinic. All rights reserved.