日本摂食嚥下リハビリテーション学会

9月8・9日に仙台国際センターで開催された「第24回日本摂食嚥下リハビリテーション学会」において、3題の演題発表を行いました。

以下抄録を掲載致しますのでご覧ください。

もぐもぐクリニックは地域医療の一端を担う医療機関として、これからも全国レベルでの情報発信を進めてまいります。

 

1.「当院における嚥下障害を有する地域在宅高齢者への対応」

An approach to elderly with dysphagia living in local community

もぐもぐクリニック 嚥下リハビリテーション歯科・内科

松宮 春彦, 大湊 真希, 木村 和之

【はじめに】 摂食嚥下障害を有する在宅要介護高齢者は現在全国で約 40万人に達すると考えられており, 今後も増加傾向にあるため在宅医療での対応が益々重要となってきている. 一方で在宅における嚥下障害に対する医療体制は人的資源や利用可能な器材などの問題から, 妥協すべき点が多いのが現状である. 当院は在宅における摂食嚥下機能回復を主な目的として本年 4月に開院した内科併設の歯科クリニックであり, 嚥下障害を有する地域在宅高齢者への対応システムを構築し始めている. 今回当院が作成した診療アルゴリズムの妥当性と改善点について検討した.

【方法】 当院にて在宅訪問診療を行っている高齢者のうち, 主訴が嚥下障害または嚥下障害の疑いがある症例について, 新たに作成した診療アルゴリズムを用いて診療を開始した. アルゴリズムの大きな特徴としては栄養ケアプロセスと MASAを組み込んだこと, 9inchのイメージインテンシファイアを装備した外科用移動式 X線テレビ装置(C-ARM)の導入により内視鏡下嚥下機能検査と嚥下造影検査がほぼ同列に検討可能となったこと, 嚥下機能回復の手段として TESSと NMESを採用した点である. アルゴリズムの運用は歯科医師・歯科衛生士・管理栄養士が協働で行った.

【結果および考察】 特に在宅要介護高齢者にターゲットを絞り, 当院にて作成し運用を開始した摂食嚥下障害への対応システムについて, その有用性と将来に向けた改善点を検討する.

 

 

2.「在宅における栄養ケアプロセスを組み込んだ嚥下障害診療アルゴリズムの構築」

Construction of medical algorithm for dysphagia with Nutrition Care Process (NCP) in home-visit treatment

もぐもぐクリニック 嚥下リハビリテーション歯科・内科

大湊 真希, 松宮 春彦

【はじめに】一般的に在宅高齢者医療における摂食 嚥下障害への対応は病院等で行うものと比較して診 療器材や診療空間に制約があるため,現場において様々な工夫がなされている. しかしながら栄養アセスメント結果を嚥下障害アルゴリズムに融合できているものは少なく, 円滑な対応を目的としたシステムの構築はされていない. 当院は在宅における摂食嚥下機能回復を主な目的として本年 4月に開院した内科併設の歯科クリニックであり,管理栄養士を 2名配置している. 今回これまで用いてきた摂食嚥下 障害の診療アルゴリズムに栄養アセスメント・栄養 診断・栄養介入(栄養ケアプロセス:NCP)を組み込んだものを作成し,その有用性について検討した.

【方法】当院にて在宅訪問診療を行っている患者のうち, 主訴が嚥下障害または嚥下障害の疑いがある症例について,新たに作成した診療アルゴリズムを用いて介入を開始した. NCPに相当する範囲は管理 栄養士が主体となり, 歯科医師・歯科衛生士と協働で診療計画を立案した. なお診療には内視鏡下嚥下機能検査や嚥下造影検査時も歯科医師・管理栄養士・歯科衛生士が同席する形をとっており, リアルタイムな情報共有が可能な環境としている.

【結果および考察】在宅高齢者における摂食嚥下障害の診療アルゴリズムに NCPを組み込むことの妥当性・有用性について検討する. また, 今回新たに作成した診療アルゴリズムがシステム化するよう改善を行っていく.

 

 

3.「在宅医療における頸部干渉波刺激装置を併用した専門的口腔ケアの検討」

The consideration of combine professional oral care and interferential current stimulation in home-visit treatment

もぐもぐクリニック 嚥下リハビリテーション歯科・内科

木村 和之, 松宮 春彦

【はじめに】 口腔ケアの介入を必要とする在宅高 齢者の多くは身体機能が低下し, 口腔機能の低下も伴って摂食・嚥下障害がみられるようになるため, 器質的口腔ケアに加えて機能的口腔ケアの重要性が増してくる. また嚥下反射閾値が上昇していることが多いため, 口腔機能の維持・回復を目的とした口腔ケアでは低下した咽喉頭部の知覚についてもアプローチする必要がある. 当院は在宅における摂食嚥下機能回復を主な目的として本年 4月に開院した内科併設の 歯科クリニックであり, 今回在宅診療で行う通常の口腔ケア時に頸部干渉波刺激装置を併用する方法を検討した.

【方法】 当院にて在宅訪問診療を行っている患者のうち, 内視鏡下嚥下機能検査または嚥下造影検査において摂食・嚥下能力のグレードが 9以下であった全症例に対して頸部干渉波刺激装置を併用した歯科衛生士による口腔ケアを行った. 装置の出力周波数は 2,000Hz, 治療周波数は 50Hz であり, 装置により頸部の感覚神経を刺激した状態で 20分間以上の口腔ケアを週 1回の間隔で行った. なお装置の刺激の強さは意思疎通が可能な場合ではざわざわ感じる程度, 意思疎通が難しい場合は 3.0mA以下で行っている.

【結果および考察】 今まで通常行われていた歯科衛生士による定期的な専門的口腔ケアに頸部干渉波 刺激装置を併用した場合の有効性について, 感覚閾値の変化・嚥下レベルの変化・装置併用中の肺炎発症の有無などを中心に検討する.

 

 

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